エッセイ【Baby Step】Essay
麦わらの秋
2020年9月2日
♪麦わらの~ と、あいみょんのマリーゴールドを歌ってるはずが、
いつのまにか、キロロの♪ほ~ら、足元を~になっている2020の夏です。
なんていってるまに、気がつけば、8月も最終日。
自粛自粛って家のなかにいる間に、
春も夏も過ぎていこうとしてる、ウッソ~~~、何もしてないよぉ~っ。聞いてないよぉ~~~。
“人が気づく頃には、いつも春のほうが先に来ている”
あぁ、なんて素敵なフレーズ!!
カレル・チャペックの“園芸家12ヶ月”は無人島にもって行く本3冊に入るほど好きだけれど。
今季ばかりは、なんだかザンネンな気持ちで、この一節を受けとめてる私です。
昨日、ほぼ半年ぶりに山手線に乗ったら、そこそこ乗客がいて、用がすんだ後、
四谷の空いているタイ料理屋に行ったら、ものの5分もしないうちにお客が増えだして、
あっという間に密になってしまった!!
しかも、すぐ横に座った3人組が、昼からシンハビール片手に大盛り上がり。
どうみても20代じゃないぞう。
あのさぁ、つば飛ぶんですけど、身体こっちむけないでよ!!
こっちは年寄りと一緒なんだぞぉ。少しは気をつかえよ~~~っっっ!!
と、一瞬、軽い殺意をおぼえたほど・・・・!
その後、飯田橋の川沿いのオープンカフェで、これまた半年ぶりのお茶をしたら、
テラスの奥の席に10人ほどのグループがいて、こちらはハイネケンのビンビールを片手にみんな大爆笑でパーリィピーポー状態。
こちらも、3,40代っぽかったぞう。
これだもん、感染収まらないのも無理ないか。
やれカラオケでだの、接待をともなう夜の店うんぬんと、クラスターのニュースが伝えられるたびに、
未だにそういう人たちがいるんだぁ?と不思議だったけど。
なるほどねぇ、いましたわ。まさに、今ここに。
ま、用があるとはいえ、35度越えの酷暑の中、90の親と出歩いてる私も私ですが・・・・。
ま、みんな、それぞれ事情があるってことですかね。落ちつけ~落ちつけ~、私。
深呼吸してはみても、笛吹けど踊らず・・・じゃないや、つまり、自分のことながら思うように行かないともうしますか。
ついさっき、遠方の友人に配送依頼した果物が、
依頼主の私の元へ送られてきて、もうなんなのよっ!!と怒り心頭。
腹が立って腹が立って、泣きそうになってしまった。
以前にも同じようなミスがあって、その都度、すみませんねぇと人のいい声で謝られて、
はいはい・・・で終わっていたのだけれど。
もう、これだから田舎もんはっ!!!
毒づいて、自分のなかの差別に、ひやっとしてしまった。すいません。
自分もとんだ田舎者もんのくせしてさ、、、、
カッカしてる私をよそに、母は、“いいじゃないよぉ、それくらい。また送ってもらえばいいじゃないよ”
と笑ったりして。
あのですねぇ!・・・2,3日前にパトカーでご帰還したことすらこれっぽっちも記憶に無いボケ母に、かる~く諌められてるってのもね、なんか、笑えた。
あぁ、これってあれだ。
諸々しんどい時に、足の小指を机のかどにぶつけたとた、痛ぁぁ~~っ!!て、何もかも嫌になって一人泣きだしてしまったときと同じだわ。
別にね、痛くたって死ぬほど痛いわけじゃないんです。
でも、何かがもういっぱいいっぱいで、我慢の限界。
“ワラの一本”
荷物をやまと積んでるロバだかなんかが、麦わらをほんの一本追加した瞬間、倒れてしまう。
海の向こうにはそんなことわざっていうか、言い回しがあるんでしたっけ。
たぶん、私ももろもろいっぱいいっぱいだったんだろうなぁ。
ってか、今もだけど。
そこへほんの些細なトラブルがちょこっとふりかかっただけで、人生最悪!!みたいな気分になってしまう。
たまたま、その時、友人からLINEが。
“あぁ、幸せになりたい”と、私がつぶやくと、白雪姫がハートマークをなんこも投げてくれるスタンプが変送されてきた。
それを見たとたん、なんだか力がぬけて、笑ってしまった。
あぁあ、私ったら、なに泣いたり笑ったり、ばたばたしてるんだか・・・・。
同じ麦藁でも、ロバの一本よか、あいみょんのほうが全然いいよねぇ。
気づけば、セミしぐれに混じって、朝夕は虫のすだく声も。
気温35度超えの酷暑の連続でも、季節は我々が気づくよりも早くちゃんときているんすねぇ。
見上げれば、青空には刷毛で刷いたような雲が。
秋ももうすぐそこ。
新しい日々が少しでも穏やかなものであることを祈って。
なにか楽しいことが、ちょっぴり、ちぢこまった暮らしに色を添えてくれることを祈って。
チャオ!!